【第2回】ADHDの多動性・衝動性とは?欠点を強みに変えるコツ教えます!


こんにちは!カウンセリングルームすのわ・臨床心理士の南です。
この記事では、前回の「ADHDの正しい対策は?何もしないと別の問題につながります!」で紹介したADHDの不注意の問題に続いて「多動性・衝動性」の問題について紹介します。

☆この記事を読んで欲しいのはこんな人

  • いつも落ち着きがないと言われる
  • いつも頭の中がごちゃごちゃしている
  • ADHDの欠点を強みに変えたい

特に落ち着きがない・集中力が続かないことで悩んでいる方は最後まで読んでみて下さい!
自分の強みを活かすためのヒントが見つかると思います。

筆者のご紹介

南 和行(みなみ かずゆき)臨床心理士
早稲田大学第一文学部 心理学専修 卒業。ミシガン州立大学大学院カウンセリング心理学科 卒業。ADHD(発達障害)・トラウマ改善専門の「カウンセリングルームすのわ」代表カウンセラー。自身もADHDやトラウマで苦しんだ経験があり、その経験から改善のために試行錯誤を繰り返したことが、カウンセリングの基になっている。目の前の人を最も適切で役立つ方法でサポートすることをモットーに、認知行動療法、トラウマ療法など最新・最適な治療法を提供している。「すべての人には、その人がその人らしく輝くことが出来る可能性がある存在である」そのことをカウンセリングを通じて伝えることを使命としている。ADHDの特化した自助グループ「ADHD交流会」を主宰している。


ADHDの多動性・衝動性とは何か?

前回の記事では、ADHDの診断基準から見た「不注意」の症状について紹介しました。
今回は「多動性・衝動性」について紹介したいと思います。

「多動性」とは字の通り「動きが多いこと」の意味で、一般的に以下のような特徴が見られます。

【多動性】

  1. 落ち着きがなく、体をもじもじする
  2. 椅子にじっと座っていることができない
  3. 余計に走り回ったり、落ち着かない感じになってしまう
  4. 静かに何かをして過ごすことが苦手である
  5. じっとしていられない
  6. しゃべりすぎる

また「衝動性」とは「何かをしたいと思ったら我慢できない」ということで、次のような行動に現れます。

【衝動性】

  1. 質問が終わる前に話し始めてしまう
  2. 順番を待つことができない
  3. 他人を妨害し、邪魔をする

「ADHD=多動で落ち着かない」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

確かにADHDの典型として、学校の教室で座って授業を受けることができずに、教室内を動き回っている子がいます。このような座っていられないレベルの多動は年齢とともに改善することが多く、大抵の場合は小学校高学年には落ち着きます。大人になっても座っていられないような方はほとんどいません。

大人の場合は、座っていることはできても何だか落ち着かない、という程度の方が多いようです。当ルームで主催しているADHD交流会に参加された方が、大人の多動性について「脳内多動」という表現をされていました。脳内多動とは、他人から見て体は動いていなくても、頭の中で次々にいろんな考えや衝動が出てきて落ち着かない状態と言えるでしょう。次から次へと考えがわいてくるので、黙って作業に集中することができなかったり、じっと座っていることができなかったりします。

この「脳内多動」という表現は公に使われている用語ではありませんが、大人のADHDの多動性を理解する上で的確な言い方だと思います。

ジャイアンは多動性・衝動性タイプADHDの典型?

前回は不注意タイプの典型としてのび太くんを紹介しましたが、今回はジャイアンに登場してもらいましょう。

ジャイアンは漫画「ドラえもん」に登場するガキ大将で、暴力的でちょっとしたことで怒って、のび太を叩いたり、おもちゃを取り上げたりします。そんなジャイアンのどのような所が多動性・衝動性ADHDの典型なのでしょうか?ジャイアンは一般的にこのようなイメージで描かれています。

  • 乱暴でイライラするとすぐに手が出るガキ大将
  • 欲しいものがあると、それに一直線、我慢することできない
  • 野球やケンカなど体を動かすのが大好き、じっとしているのは大嫌い

のび太とは全く違ったタイプですが、ジャイアンもその乱暴さからよくお母さんに怒られています。のび太くんは、不注意な部分が怒られるポイントですが、ジャイアンは衝動的な部分で大人に叱られている場面が多いですね。「お前の物は俺の物、俺の物も俺の物」で知られている通称「ジャイアニズム」という考え方は、自分の欲求を抑えることができず友達のおもちゃを奪って満足しているという点で、多動性・衝動性タイプのADHDにも見られやすい特徴と言えるでしょう。

「ジャイアン」のように自分の思い通りにならないとついカッとなって暴力をふるったり、思ったことをすぐ口に出して相手を傷つけたり、勢い余ってけんかになったり、まわりはその子のことでずいぶん困っているのに、本人は全然気づいていなくて問題ナシの子どももいます。

ADHD のび太・ジャイアン症候群3  ADHD子どもが輝く親と教師の接し方

ちなみに実際には、不注意、多動性、衝動性とはっきり別れずに、3つのタイプが混在している人も多くいらっしゃいます。例えば、のび太のように不注意によるミスや忘れ物が多いといった傾向にプラスして、ジャイアンのように思ったことをすぐに言動に移して失敗してしまう、といったケースです。漫画のキャラクターのようにはっきりとした特徴とまで行かなくても、いくつかの傾向を複合的に持っている方も多いですね。

ADHDの由来は狩猟生活にあった!?

そもそも、どうしてADHDの多動や衝動といった傾向が人間に現れるのでしょうか?

「なぜADHDのある人が成功するのか」という本の著者であるトム・ハートマンは「ADHDは狩猟民族の特徴である」という説を主張しています。

  • 草原・森・密林で狩りを成功させるには、すぐに注意を散らし、絶えず周りに目を張らなくてはならない。
  • 同時に多くの作業をこなし、複数の獲物を追いかけられなくてはならない。
  • 危険を冒すことを恐れてはならない。狩猟社会に危険は必須である。
  • ある動物を追いかけはじめてから別のチャンスに巡りあったら、すぐさま(衝動的に)コースを変更して新しい獲物を追うよう決断できなくてはならない。

「なぜADHDのある人が成功するのか」トム・ハートマン著

ADHDの多動・衝動性の傾向は欠点ではなく、優秀な狩猟民族(ハンター)の特徴である、と彼は見ています。狩りに出るハンターにとっては、物音に即座に反応することが求められます。落ち着いて静かにするよりも、獲物に対して俊敏に動いて追い詰めることが必要です。

確かにカウンセラーである私から見ても、この「ADHD=ハンター説」に共感するところが多くあります。子供のころは虫とりや鬼ごっこ、缶けりが活躍の場でした。小学生時代は珍しい虫を捕まえることに情熱を燃やしていましたし、大学時代には「かくれんぼ」をするサークルで日夜真剣にかくれんぼを極めていました。私自身もハンターの素質があるのかもしれません(笑)。しかし、ハートマンの著書でも書かれていますが、現代社会は危険に対して衝動性が求められる狩猟社会ではなく、計画性と忍耐が求められる農耕社会です。その農耕社会でハンターとして成功するためには、工夫が必要なのです。その最初の一歩が「自分のADHDの特徴を知ること」です。

ハンターであることを財産に変えるには、自分を知ることが最初の重要なステップとなる。
診断を受け、ADHDがどういうものかを知り、それを受け入れることが、セラピーの7割を占める。
すなわち、ADHDのある人にとってこの自己認識こそが、変化と力をもたらす、素晴らしい源泉になるのである。

「なぜADHDのある人が成功するのか」トム・ハートマン著

カウンセリングルームすのわが提供するADHDのカウンセリングの中でも、自分の特徴を理解するというプロセスはとても大切にしています。自分の特徴を知り、受け入れた上で、ひとりひとりの特徴に合った対策を考えていきましょう。

多動性・衝動性を強みに変えるコツ教えます!

ここからは、多動・衝動性から起こる問題について、特性に合った工夫をすることで欠点を強みに変えるコツをお伝えします。

ケース1:集中力がなく、初めの仕事を終わらせることに苦労しているAさん

悩み:一つの仕事をやっていても、その仕事とは関係のない魅力的なアイデアが次々に頭に湧いてきて、衝動的にそのアイデアについて調べる。気付くとずいぶんと時間は経っているものの、初めの仕事は何も進んでいない。

対策:「25分作業して5分休憩する」サイクルを、タイマーを使って繰り返す。

解説:豊富なアイデアはADHDの多動の賜物です。しかし次々にわき出るアイデアを追ってしまうと、どのアイデアも形にならずに終わってしまいます。それを活かすための一工夫が、時間を区切って作業することです。シンプルですが、ADHDの方にはとても有効な方法です。一度試してください。

ケース2:一つの仕事が長続きせず、次々と職場を変えてしまうBさん

悩み:どの仕事も長続きしないので、周りからは根性なしの烙印を押されてしまう。自分でもすっかり自信をなくしてしまった。

対策:職業選択が大切。自分の興味に集中するのがADHDの特徴なので、興味が持てることを仕事に選ぶことで人より秀でた結果を出すことができる。

解説:退屈で興味が持てない仕事は、ADHDの人にとっては拷問のようなものです。自分の特性を知らずに、次々に転職していてはキリがありません。自分の特性を理解して、自分の興味を活かせることを仕事にしましょう。自分が興味を持てる対象には人一倍の集中力を発揮できるのもADHDの特徴です。ちなみにトム・ハートマンは、著書の中でADHDに適した仕事として以下の要素をあげています。ADHDの自由な発想は、創造的な仕事に適しています。また、強い刺激と変化に富んだ環境もADHDには向いています。

テーマ3:退屈に耐えられずギャンブルにハマってしまうCさん

悩み:いつも落ち着きがなく、退屈に耐えられない。酒やギャンブルなど自分の欲求ばかりを優先してしまい、家族からは冷たい目で見られている。家では肩身が狭いため更にギャンブルに逃げてしまうという悪循環を繰り返している。

対策:退屈にならないよう、適度な刺激を入れて予定を組む

解説:例えば家庭ではイベント係として楽しく刺激的なイベントを提案することで家族に貢献できます。ADHDのアイデア豊富な特性を活かして、家族で活動を企画しましょう。面倒な交通機関やホテルの予約はパートナーにやってもらうなど、役割分担するのも良いでしょう。ただ程よい刺激に収めるように注意することも大切です。

このように多動性・衝動性ADHDの傾向が強い方でも、工夫次第でハンターとしての強みを活かし、周りに役立てることができます。自由な発想、フットワークの軽さ、変化への適応力など、どれも上手く活かせばその人の強みとなる特徴です。強みを活かすためにも、自分の特徴をしっかりと理解して、特徴に合わせた改善策をとっていくことが大切です。ご自身の特性にあった工夫を具体的に知りたい!と思った方はぜひご相談ください。

落ち着きがない=欠点だと決めつけないで!

当ルームでは「自分はADHDだから欠点だらけのダメな人間なんだ」という思い込みをなくすところからお手伝いさせていただきます。

もしかしたらあなたにも優秀なハンターとしての素質があるかもしれません。自分でも気づいていない隠れた才能を見つけて毎日に活かすことができれば、明日からの毎日はきっと自信に満ちたものに変わるでしょう。「変わりたい!」と思った今がその時です。勇気を出してお問い合わせください。

この記事のまとめ

  • 落ち着きがない、じっとしていられない、おしゃべり→ADHDの「多動性・衝動性」かも?
  • 多動性・衝動性は優れたハンターの素質でもあるが、日常生活でその能力を発揮させるにはコツが必要
  • 自分のADHDの特性を正しく理解すれば、欠点を強みに変えることができる

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